短編小説集

2009年発刊

少年譜

少年譜

◎出版社:文藝春秋
◎出版年月日:2009/02/12
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1500円+税
◎ISBN978-4-16-327890-2
◎解説:大人になるまでに通らねばならぬ厳しい道程に優しく光をあてる傑作少年小説集。
伊集院の生まれ育った中国地方を主な舞台とした短篇を7作収録。老夫婦に貰われた捨て子は,お寺の和尚に教育を受けることでその才能を開花させ,著名な学者の元で養子となる。しかし、そこで向き合うことになる大人の社会の厳しさ…(「少年譜 笛の音」)など、全編を通じて多感な時期故の喜びと切なさを描き、世代を越えた感動を呼び起こす作品集。
17年前に発表され単行本未収録だった幻の掌編も収録。

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2006年発刊

宙ぶらん

宙ぶらん

◎出版社:集英社
◎出版年月日:2006/02/24
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1500円+税
◎ISBN4-08-774797-2
◎解説:人が自殺をしなくてはならない理由はさまざまであろうが、自殺をする動機は単純なものに思える。平常、死は別の領域に存在しているように感じられるが、いったんその領域に身体の一部が入り込むと、いとも簡単に人は死を受け入れるはずだ。……死は死だけが存在しているに過ぎない。(『宙ぶらん』より)など10の掌篇を収録。

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2004年発刊

駅までの道をおしえて

駅までの道をおしえて

◎出版社:講談社
◎出版年月日:2004/10/26
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1500円+税
◎ISBN4-06-212638-9
◎解説:愛犬ルーの死を受け入れられず、一人思い出の道、原っぱを歩く少女。偶然の出会いが、フセ老人とルースという名の犬を結び付ける。フセ老人もまた、幼くして亡くした息子・コウイチローを思いながら生きてきたのだった。二人は、ある日、一緒に夏の海を見に小さな旅に出る……。生と死。「もう一度逢いたい」という強い願い。人の哀しみと希望とを夏の強い光とともに描き出した表題作「駅までの道をおしえて」他、かけがえのない時間を胸に生きる人々に贈る、8つの物語。
前作「ぼくのボールが君に届けば」に続く、著者の原点ともいえる野球を背景に描きながら、人の心の深部に迫る短編集です。

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ぼくのボールが君に届けば

ぼくのボールが君に届けば

◎出版社:講談社
◎出版年月日:2004/03/31
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1500円+税
◎ISBN4-06-211891-2
◎解説:ベストセラー「受け月」から12年。著者の原点ともいえる「野球小説」。心とはもしかしたら、ボールのようなかたちをしているのかもしれない。キャッチボールのように、心と心が通いあう瞬間、人はいままでのわだかまりを捨て、心の底から笑うことができる。
最愛の息子を自らの過失で失った男。不倫の恋に苦悩する女。ずっと昔の恋の思い出を胸に秘めたまま、その存在を見守り続ける老女。友情のために、兄姉のために格闘しながら成長していく少年や少女。さまざまな登場人物の心のふるえを「野球」というスポーツを背景に描く、9つの物語。いとおしさ、勇気、忘れていた思い。読む人の心に「生きる勇気」をあたえる希望の短編集です。

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2003年発刊

眠る鯉

眠る鯉

◎出版社:文藝春秋
◎出版年月日:2003/01/10
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1429円+税
◎ISBN4-16-321540-9
◎解説:「いいのよ、答えなくて。けど私は恋した人の何かを得たいの。それを大切にして育んで生きるの」そう言って姿を消した愛人が残したもの。(「花いかだ」より)
「若い兵士らよ。塹壕で見たものを語るな」祖父の詩集に挟まれた栞が語る真実。(「しぐれの実」より)
「自殺であれ、事故であれ、人が死ぬのに理由なんかないんだ」息子を失った男が辿りついた旅路の果て。(「ラビット君」より)など全七篇を収録。

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冬のはなびら

冬のはなびら

◎出版社:文藝春秋
◎出版年月日:2003/01/10
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1429円+税
◎ISBN4-16-321530-1
◎解説:「まずは三年、何があっても辛抱だ。最初の三年がそいつの職人としての一生を決めるもんだ」中卒で経師屋に弟子入りした若者を描く。(「雨あがり」より)
「ボールには俺たちのすべてが込められてるんや。そのボールに申し訳ないと思わんのか」草履でボールを探す社会人野球の監督の決断。(「夏草」より)
「俺は…。その時が着た時、大切な状況に遭遇した時に…躊躇うことがないように生きていたいんです」人命救助に命をかける消防士の恋。(「遅い春」)など全六篇を収録。

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1996年発刊

空の画廊

空の画廊

◎著者:伊集院静(画・福山小夜)
◎出版社:集英社
◎出版年月日:1996/12/20
◎サイズ:B5判
◎定価:本体1165円+税
◎ISBN4-08-774242-3
◎解説:人がまだ、木や水や風と話ができた、あの頃の、12人の少女の物語。13枚の絵とファンタジックなギャラリー短編集。

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昨日スケッチ

昨日スケッチ

◎出版社:講談社
◎出版年月日:1996/10/31
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1456円+税
◎ISBN4-06-208106-7
◎解説:実家のある港町の一角にあった遊廓で生まれた少女、常宿にしていた三浦半島のホテルに深夜突然現れた全裸の女性、麻布の古アパートに間違い電話をかけてきた白いコートの女…。人生の歩みの中で出会う不思議な女性の思い出や結論など出ない女と男の哀しい世界を描いた魅惑の伊集院ワールド、傑作短編集。

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1996年発刊

とんぼ

とんぼ

◎出版社:講談社
◎出版年月日:1995/05/31
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1456円+税
◎ISBN4-06-207594-6
◎解説:子供たちと河原で野球をする圭一を愛した牧子は、ささいな出来事にも心が揺れ動くようになる——大人の男女の純な心の通い合いを、わずか四十分の時の流れの中で見事に描いた表題作をはじめ、哀しくて、でも生きる勇気はわいてくる、七つの愛の物語。短編小説の名手が繰り出す珠玉の作品集!

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1994年発刊

むかい風

むかい風

◎出版社:集英社
◎出版年月日:1994/07/20
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1262円+税
◎ISBN4-08-774081-1
◎解説:ゴルフの18ホールにちなんで18の作品からなる。伊集院静の鋭い人間観察でゴルフにまつわるシーンが描かれる。
●ゴルフの前日は興奮して眠れない。羊の数を数えるうちにその羊がバーディの数になって…『眠れぬ森のビギナー』。
●バンカーで23打もたたきながらも、正直に申告する男の話…『23打』ほか。
ゴルファーだけでなく、誰が読んでもうなずいてしまう珠玉の短編集である。

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1993年発刊

あずま橋

あずま橋

◎出版社:集英社
◎出版年月日:1993/01/25
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1262円+税
◎ISBN4-08-772892
◎解説:愛した人のことを、そのままずっと忘れずにいられるものだろうか——。衣津子は17歳の時、瀬田雄次と知り合い、好きになった。が、雄次は任侠の道を選び、衣津子を遠ざけようとする。生き急ぐ雄次と同じ修羅を覚悟した衣津子は、背中に鯉の刺青を彫って、雄次と一緒に歩いていこうとするが…(「あずま橋」)。表題作他4篇、男と女の世界を心に沁み入る文章で描く、伊集院ロマンの結晶。

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1992年発刊

受け月

受け月

◎出版社:文藝春秋
◎出版年月日:1992/05/30
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1262円+税
◎ISBN4-16-313240-6
◎解説:鐵次郎は空を見上げて、あれが沙やの言っていた受け月なのだろうか、と思った。なるほど月は何かを受けるように盃の形をこしらえている。
鐵次郎はしばらくその月を見つめていた。そうして急に手にしていた紙袋を橋の上に置くと、月にむかって両手を合わせた。何を祈ればいいのか。わからなかった。取りあえずさやかの婿が順調に回復するように祈った。(本文「受け月」より)
表題作ほか、野球に関わる人びとを通じて人生の機微を描いた連作短編集。感動の「直木賞」受賞作。

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峠の声

◎出版社:講談社
◎出版年月日:1992/1/10
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1262円+税
◎ISBN4-06-205258-X
◎解説:月が美しいのは、天女が笑うと、月がかがやく、そう父は言った。宵の空に浮かぶ月を見ると、気持がたかぶった。秋の満月を眺めていると、月がふるえているようだった。——清澄な名作「峠の声」など、秀作5篇。

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1990年発刊

乳房

乳房

◎出版社:講談社
◎出版年月日:1990/10/05
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1262円+税
◎ISBN4-06-205007-2
◎解説:妻と病室の窓から眺めた満月、行方不明の弟を捜しに漕ぎ出た海で見た無数のくらげ、高校生に成長した娘と再会して観た学生野球…せつなく心に残る光景と時間が清冽な文章で刻み込まれた小説集。表題作の他「くらげ」「残塁」「桃の宵橋」「クレープ」と名篇を収録し、話題を呼んだ直木賞作家の、魂の記念碑。

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1989年発刊

三年坂

三年坂

◎出版社:講談社
◎出版年月日:1989/09/11
◎サイズ:四六判
◎定価:本体1311円+税
◎ISBN4-06-204504-4
◎解説:少年と父の感動的な絆を中国連峰の緑の中にみごとに描出した「皐月」や鎌倉の鮨職人の心に鮮やかに亡き母の思い出が浮かび上がる瞬間を捉えた「三年坂」、失意の中年男が草野球に誘われて思いがけず自分の生き方を見つける「水澄」など、深い叙情性と巧みな文体、人生へのいつくしみに溢れた初の小説集。

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